ミノルタハイマチックE
 90年代の始めくらいにライカブームというものがあって、やがてそれは中古カメラブームへ変化していった。その影響が刷り込まれていたのか、私もいつしかクラシックカメラが欲しくなり、21世紀になった頃にその手の本を色々と読み漁った。
 私が買ったのはミノルタ ハイマチックEというレンジファインダーカメラで、レンズは交換出来ないし、露出もフルオートと趣味性は弱かったのだけれど、そのレンズが40mmのロッコールレンズで、F1.7という明るいレンズ、小振りな金属ボディと、ライカMマウントの名機ミノルタCLEのレンズ固定版みたいな趣きがあり惚れて買った。

 私はずっと旅カメラとしてミノルタ マックテレというカメラを愛用していて、このカメラが38mmと80mmを切り換えて使う2焦点カメラだった事もあり38mmという画角に慣れていた。そのため40mmはとてもスナップがしやすく、私は早速カメラを持ってスナップに出かけた。行き先は三浦半島の横須賀市船越。当時は三浦半島は私にとって気分転換をしたい時の散歩の聖地ではあったが、写真を撮りに行くのは珍しく、気分を高揚させながら出かけた。
 船越は京急田浦駅が最寄りで、ホームからは国道を挟んで、当時大人気だった石川梨華さんの母校である小学校が見える。その小学校の近くに古びた商店街がある。そこはかつて「皆ヶ作(かいがさく)」という赤線地帯であった。古い旅館もまだ残っている。
 なんとなくその面影を感じながら街を撮る。暗いアーケードも明るいレンズがしっかりと写し出す。40mmは狭い道でも使いやすかった。

 海の方角に向かって歩くと自衛隊の船などが停留する湾に出る。その湾を見下ろすように丘があり、そこに石川梨華さんの母校の中学校がある。

 真夏の日差しの下でマットブラック仕上げの金属ボディのカメラを手に抱えながら私は軽い足取りでスナップを楽しんだ。思えば、これが街スナップにハマった原点かもしれない。

 その後もハイマチックEとの街スナップは何度か行ってきた。葉山や浅草、上野、40mmのロッコールレンズは優しくもしっかりとした階調の写真を写してくれた。

 時が流れ、しばらく40mmという特殊な画角の事は別世界の出来事になっていた。私のハイマチックEは元々カビ有りジャンク品を安く買い、カビを拭き取り使っていたのだが、一度カビが発生したレンズはなかなか全快にはならない。ついにはソフトフォーカスレンズになってしまった。ミノルタがカメラから撤退する時にサービスセンターに持っていっては見たが修理不能という事で、今は引退させて余生を過ごしているハイマチックEである。
 そんな私は今でも40mmにはどこか懐かしいものを感じているから、デジタルの世界でも40mmは使っていきたい。奇しくもデジカメで初めてスナップ撮影を始めたカメラであるミノルタ ディマージュxiの広角側は38mmだ。やはり私は40mm前後の焦点距離が好きなのだろう。

 今、私の手元に再び40mmの世界を楽しませてくれるカメラが現れた。41mmレンズを搭載したシグマDP2だ。なんだか懐かしいその感覚、目測でピントを決める感覚はどこかノスタルジーを感じる。きっといつか、このDP2を持って船越に行く事になるに違いない。
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2012.11.20 Tue l カメラエッセイ l コメント (0) トラックバック (1) l top

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 90年代の始めくらいにライカブームというものがあって、やがてそれは中古カメラブームへ変化していった
2012.11.21 Wed l まっとめBLOG速報