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糸満
 おもろまち駅で荷物を取り出した私は、糸満に向かうことにした。予定では赤嶺駅からバスだったが、始発から乗った方が楽だと思い、那覇バスターミナルに向かう。旭橋駅で降りれば隣である。
 予定では赤嶺駅を17:45発だった。那覇バスターミナル3番乗り場が糸満方面という事で向かい、ベンチに座った。LED案内によると、17:05糸満行きがある。あと数分。いいタイミングだ。
 だが、バスは来ない。まあ、時刻通りバスが来ないのはもう慣れてきた。道路渋滞が激しいのだ。私はベンチに座り直す。
 メモに行程を綴ったりしているうちに、LED案内表示がいつの間にか17:14糸満行きに変わっている。視線を落としてはいたが、バスが来た気配はない。仕事帰りのOL風な人が案内を見て数秒思案して立ち去った。
 バスを待っているのは私一人だ。17:14の便は定刻に来たので乗車する。
 バスは夕刻の那覇の街を何度も曲りながら走っていく。もう方角は把握できないほど曲がった。途中から何人も乗車があった。15分ほど経過した頃、車内放送が告げた。
「次は旭橋、那覇バスターミナル前」
 なんという事だ。バスは市内を回り、ターミナルに帰ってきた。バスは、乗車した時のターミナルビルの中ではなく、外の通りに立つバス停に停車した。察しがついた。17:05の便はここから出ていったのだろう。
17:30に那覇バスターミナルを出たバスは、赤嶺駅を五分遅れの17:50に出た。私が予定で乗ろうとしていたバスは、まさにこのバスだったのだ。
 せっかく予定より早く那覇に居たのに…と思いながらも、夕刻の豊見城市の風景をぼんやり眺める。海が近いのに意外に起伏のある地形だ。
 豊見城の市街地を抜けると、糸満市に入った。空は暮れ、風景はすでに夜景だ。それでも関東より日没が一時間ほど遅い。西崎入口バス停に着いた。私と一緒にバックパッカー風の白人夫婦が降りた。もしかすると同じ宿かもしれない。
 私は明日の朝、予定より早いバスで帰る事にしたので、バス停の位置の確認のため反対車線に向かう。西崎は運河に囲まれたような町で、要するに埋立地だ。バス通りから外れると寂しい空気に変わった。
 予約した宿は運河の前に立つ雑居ビルだ。スナックなどが入店していたビルをリノベーションした宿らしく、予約していた五階の部屋はソファやキッチンが備え付けられた一角の隅にドアがあった。一泊2500円。和室。
 荷物を置いて少しだけ休んだあと、鍵を持って部屋を出て、外に出た。
 西崎という町は糸満漁港に近く、ちょっとした歓楽街を形成している。現役のスナックビルもまだあるし、飲み屋も何軒もある。コンビニもあった。後で明日の朝食を買う事にしよう。
 いくつもの道を歩き、大体の雰囲気を掴んだ頃、店の名前で海鮮が食べられそうな雰囲気の店の暖簾をくぐった。L字型のカウンターだけのその店は席のほとんどが埋まっていた。私は入口近くの席に案内された。
 まずはオリオンビールの瓶。三夜連続で注文している。刺身盛り合わせとメニューにある。
「五点、三点、どちらにしますか?」と店主。
「いろんな魚が食べたいです」と私。五点盛りとなった。
~糸満には勇敢な漁師がいる~「街道をゆく 沖縄・先島編」に書いてあった。
「仕事ですか? 観光ですか?」
「観光です。糸満は漁港として名高い所だと司馬遼太郎さんの本に書いてあったもので」
 沖縄に来る観光客で糸満に泊まる人は珍しいのだろう。周囲の常連が私に質問をしてくる。どこから来た?
 話が弾んだ。隣の二人組は宮崎と熊本出身の人だった。宮崎の人が言う。
「都会は嫌なんだよ。それで沖縄に来た。那覇は都会すぎる。本当はもっと田舎に住みたいんだよ」
「与那国島とか南大東島とか」
「そう! その辺。でも仕事がないからね。糸満がぎりぎりの線だった」
 でも、とても楽しいそうだ。豆腐チャンプルーが美味しい。泡盛を頼んでみた。店主の後ろに置かれた壺から注ぐという。味は驚くほど濃厚で、少し甘みもあって、でもいい香りだった。沖縄の海だなと思った。沖縄の海は潮の匂いではなく少し甘みのある匂いがする。
ただ、やはり泡盛だ。度数は高い。すぐにほろ酔いとなる。楽しい。
 九州出身の二人の向こうに座るのはコザ出身の人だった。私が昨夜コザに泊まったというと喜んでくれた。帰り間際、その人がまた沖縄に来たら俺の所に電話してくれ、一緒に飲もうという。
「次回も糸満に来ますんで、ここに寄ります」
「おお、そうか。じゃあ俺は毎日いるからまた会えるな」
 店内に笑いが広がる。店主から名刺をいただき、店を出た。
 宿は店のすぐ近くだった。コンビニで朝食を買って帰り、シャワールームでシャワーを浴び、コンビニで買った「さんぴん茶」を元スナックのソファに座って飲んだ。前日サッカー会場で買ってハマった味だ。色は黄だが、ジャスミン茶の一種らしい。
 とても静かな夜だ。部屋には一応テレビはあるが、何もする気がしない。元スナックのソファで少しくつろいだ後、部屋に戻って布団を敷いた。部屋の窓の向こうに運河が広がっているのが見える。
 明日は五時半に起きる予定だ。西崎入口のバス停を06:50に出るバスに乗って日本最南端の駅赤嶺を目指す。
(SONY NEX-6 LENS:SONY E 16-50mm F3.5-5.6 PZ)
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2019.12.25 Wed l 神奈川県以外 l コメント (0) トラックバック (0) l top

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