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ラクテンチ
 八幡から小倉に向かい、小倉駅の構内で昼食のパンを買う。乗換時間はあまりなく、急いで日豊本線のホームに向かう。これから大分県に行くのだ。
 私の乗った電車は中津行き。今夜の宿も中津なので、一旦中津駅のコインロッカーに荷物を預けて、大分行きの電車に乗った。
 中津からはローカル線の雰囲気である。電車も二両。旧国名で言うと、豊前国から豊後国へ行くことになる。県境ではないが、この国境はそれほど往来がないのだろう。乗客は少ない。さして高くない山の麓に広がる農村を抜け、電車は海沿いの町別府に着いた。
 別府に来るのは久しぶりである。前回来た時は泊まっていったが、今日は数時間の滞在で帰ることになる。温泉で知られる町を慌ただしく去るのは勿体ないが、限られた時間の中で目的を果たすためには仕方がない。せめて行動くらいはゆっくり気ままに行こうと思う。
 別府駅から山の方に向かって歩く。タクシーを考えていたが、ゆっくり町を歩きたくなったのだ。目的地までは歩いても20分程度だ。町並みが遠ざかり、細い道の両側に並ぶ家や店の先に山が見える。その手前に不思議な建物が見えてくると到着だ。
 ここは「ラクテンチ」という遊園地である。なぜ一人でこのような場所に来たのかというと、ケーブルカーに乗るためだ。ケーブルカーは遊園地に行くための足となっている。遊園地は山の上にあるのだ。
 知ってはいたのだが、「ケーブルカーに乗りに来たのですが」と前置きして切符を購入する。ケーブルカーに乗るためだけであろうと、切符は入園料込みの1300円となっている。
 次の便は15時ちょうどだという。20分間隔で走っているが、遊園地の営業時間と合わせているため、17時で終電となる。
 車両は意外に古いもので、飾り気のないものであるが、それが好ましい。ただし、まもなく新しいかわいい車両と置き換えになるという案内放送があった。
 こんな時間に遊園地に向かう人が居る筈もなく、乗客は一人。案内のために女性係員が一人乗務し、私のために放送をする。
 駅を出たすぐの所に稲荷神社の社があった。この地の守り神と説明書きがある。遊園地訪問の挨拶をするために参拝した。
 一人で遊園地を歩いても仕方がないので、一本見送り、その次の便で帰るつもりだったが、案内図を見ると温泉と足湯があることがわかり、そこに向かう。
 温泉は16時まで、最終入場15時だったので入れなかったが、足湯に浸かることができた。山の上の遊園地だから自然に溢れていて気分はいい。のんびりくつろいでいると、温泉上がりの中年夫婦の奥さまからキャンデーを頂いた。
 それにしても、園内は昭和レトロである。アトラクションも売店も、すべてが古い。これは実は面白い遊園地なのではないか。今日はもう帰るが、もう少し早い時間に来て、温泉に入り、もう少し遊園地を堪能してもよかったと悔やんだ。名残り惜しく、駅のそばにある展望スペースから別府の町と海を眺める。いい眺めだ。
 いい眺めの手前に輪を立てた棒がある。その輪を狙って小さな陶器を投げる趣旨のものだ。棒の下に円が書いてあり、その中に落ちると「二人の愛は最高」なのだそうだ。眺めてみると、ほとんどが円の外に落ちている。これが現実というものであろう。
 16時ちょうどの便で帰る。車内は遊園地帰りの人が若干名。子供連れも居たので、案内係の女性が子供向けのクイズを出題した。もちろん貸切状態だった行きの便ではなかったものである。
 帰りは建物の前からバスに乗るつもりだったが、さほど暑くもないので駅まで歩くことにした。行きと少し違うルートにしたら、日報本線のガード下に小さな市場があることを発見した。こういう発見も徒歩ならではである。
 駅の売店で大分の地酒を買った。「よく冷えてますよ」と言う店のお姉さんの言葉に「では、このあと電車の中で味わいます」と答えた。別府、いい町である。
(iPhone5)
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2019.07.22 Mon l 神奈川県以外 l コメント (0) トラックバック (0) l top

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