FC2ブログ
横手
 平泉から南の方角に向かって東北本線を進んでいく。つまり東京方面に向かっているのだが、今回のプランは自分と同行者の行きたい所を加味して作った苦心作なのである。ゆえに行程はジグザグとなっている。私達は北上で降り、今度は北上線で北西に向かう。
 北上線は学校帰りの高校生でほとんど席が塞がっていたが、車両は一両である。以前に乗った時は確か二両だったと記憶している。それで間に合ってしまうくらいの乗客数なのか。
 北上線は非電化路線なのでディーゼルカーが走る。しばらく平地を行くが、やがて山間部へ入っていくと、エンジン音が唸り始めた。北上のこの辺りは遺跡がある地域で、それも散策してみたかったが今回は時間がなく見送る。
 山間部に入って、ほっとゆだ駅で車内はだいぶ空いた。北上から山間まで通学している高校生がそれなりに居るのだ。ここは駅に温泉が併設されている事で知られる。降りてみたい駅で、後ろ髪を引かれる思いで駅舎を見送った。
 北上線の終点は秋田県の横手だ。岩手県は曇り時々雨だったが秋田県は晴れなようで、空は青く、その先にオレンジの夕陽が落ちていく。
 今夜の宿泊地は横手。乗り換えで降りたことはあるが、駅の外に出るのは初めてだ。駅舎は近年建て替えられたらしく綺麗だ。駅前ロータリーから延びる駅前通りは商店街のようなものは形成されておらず、昭和建築な家並みが道路沿いに並ぶ。
 予約した旅館は住宅街の中にあるらしい。旧街道の道沿いなようだが、現在は道幅の狭い生活道路のように地図では見受けられた。案の定、道に迷い地図を確認していると、通りがかった婦人に声を掛けられた。旅館名を告げると、前まで案内してくれるという。親切に感謝し、談笑しながらついていく。
 ご婦人に何度も頭を下げ、旅館に入った。私の好きなビジネス旅館が今夜の宿である。部屋に入って宿帳を記入し、くつろいでいると女将さんが西瓜を持ってきてくれた。横手は西瓜が名物だそうだ。夏の味がした。
 一息ついてから外に出る。すっかり日が暮れた横手の町を歩きながら、Tさんが目星を付けた店の前に行き、私が店構えで判定するという、いつもの旅先での店巡りのパターンで夕食の店を決める。こじんまりとしているが綺麗な玄関の店が今夜の店となった。
 中はカウンターと仕切りのない座敷だけの店で、私達は座敷に通された。常連がカウンターですでに盛り上がっている。
 注文はご主人の選んだ今日のメニューに沿ったおまかせコースを頼む仕組みとなっている。コースは品数に合わせて何通りかあり、私達は1500円コースを選んだ。
 肉じゃが、サンマの塩焼き、刺身盛り合わせ等々、出てくる料理が全て美味しい。酒は秋田の有名銘柄のひとつ「高清水」。そして、仕上げは秋田名物「稲庭うどん」が出てきた。美味のオンパレードである。カウンターに座る常連客から聞こえてくる話題も文化と歴史の話題。奥さんも楽しい方で、家庭的な店だった。そう、まさに民家にお邪魔して飲んでいるような、そんな気分である。
 満腹して店を出た。散歩を兼ねて、こぶりな歓楽街を歩いてみたが横手の夜は早く、スナックの集結するビルだけが明かりを灯していた。私達はコンビニでビールを買い、バス停のベンチに座って飲んだ。ふと、空を見上げると、そこには無数の星がきらめいていた。耳をすませば、秋の虫の音。
(RICOH GR)
スポンサーサイト
2018.09.26 Wed l 神奈川県以外 l コメント (0) トラックバック (0) l top

コメント

コメントの投稿












トラックバック

トラックバック URL
http://seasonz.blog18.fc2.com/tb.php/1804-021a5bea
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)