安比奈
 西武鉄道安比奈線の路線跡は、農地の中を撮っていった。列車が走らなくなって五十年以上が過ぎているだけに、すでに線路は自然と一体化し始めている。線路の側に木が並ぶ区間では、木の根っこがレールの下にめり込んでいたりする。そんな箇所をいくつか見つけた。
 線路は入間川のところで川沿いに通る線形となっている。途中、川を越える道路の橋によって線路は分断されるが、橋の下をくぐって向こう側に出て探索を続行する。
 道路を抜けてからは、左手に広い農地、右手に土手沿いの藪、そんな風景が続く。レールの下は土が盛ってあるだけのような状態になり、隣の畑の側道との境が曖昧になってくる。
 やがてレールは消え、線路の跡のような道だけとなり、それも尽きた。架線柱のようなものがあることが、ここに鉄道がかつてあった事を伝えるのみだ。この空き地こそ、安比奈駅の跡である。貨物駅だったので、ホームや駅舎などを思わせる遺構はない。
 どのあたりまで探索していいものか、よくわからない風景になってきたが、線路の跡らしき道がわからなくなってきたところで、この廃線跡探訪は終了した。あとは帰るだけである。南大塚駅を出てから二時間近く経っていた。
 南大塚駅と安比奈駅との距離は3.2kmだということは、事前に調べて知っている。帰りはゆっくり撮影したり、立ち止まって景色に見とれたり、道がわからなくて迷いかけたりしないだろうから、一時間もあれば南大塚駅に着くだろう。傾き始めた太陽が、畑と線路を照らしている。廃線跡は黄昏がよく似合う。
(RICOH GR)
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2018.01.10 Wed l 神奈川県以外 l コメント (0) トラックバック (0) l top

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