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 少し前に、いつも見ている写真ブログにて、ブログ主の方がルースターズのアルバム「PASSENGER」について触れていた。
 日本の歴代ロックバンドで一番好きなバンドは?と聞かれれば、私は「ルースターズ」と答える。そんな私にはヒットな話題だった。ルースターズはアルバム毎に音楽の方向を変えながら、多数のアルバムを出してきたバンドで、このアルバムはラストアルバムの前の作品となる。フランス録音で、音は洗練されているが、尖った感じは薄れ、代表作とは言い難い作品だが、表題作は私も大好きな曲である。
 ルースターズは80年代に活動したバンド(平成になっても何度かライブを行なっている)。福岡県出身で、様々なタイプの曲を演ってきたバンドだ。80年代と言えば、多くのロックミュージシャンが世に出て活躍した時代だが、ルースターズは一般には馴染みの薄い存在である。だが、多くのミュージシャンに影響を与えたバンドであり、トリビュートアルバムまで作られたりもした。
 80年代には元気のよかったロックというジャンルも、今は勢いが弱まり、世間からは離れた存在になって久しい。日本では歌謡曲をベースとした歌謡ロックというジャンルがもてはやされ、90年代に活躍した歌謡ロックバンドが今でも固定ファンを従えて大きな会場でライブを行なっているのが目立つが、多くのロックバンドは細々と活動し、インディーズアイドルに楽曲を提供したりして、存在感を示している状況である。
 ルースターズの全盛期を生で体験していない私だが、今こういう時代から80年代の音楽を眺めると、彼ら、彼女らが時代を切り拓こうとした息吹が感じられる。そういう時代であったとも言える。ロックがもっと溢れていた時代。とでも言おうか。80年代という時代が、いろいろ出来た時代だったのだとも言える。

 80年代という時代がカメラにとっても技術の過渡期であり、電子カメラが発展していった時代であるのは歴史が証明している。技術が急激に進歩していく過程において、カメラのデザインも変化していった時代といえる。
 それを象徴するのがプラスチックパーツの多用であり、金属と比べてデザイン上の自由度が利く素材であるため、メーカーの冒険も始まった。たとえば、有名デザイナーによる一眼レフデザインである。
 ニコンのF3がジウジアーロによるデザインであることは知られているが、ミノルタのα8700iのハンスムート、ルイジコラーニによるキヤノンのT90など、時代の空気を表現する先鋭的なデザインが展開された。T90のデザインは、その後EOS-1に継承され、現在のデジタルEOSにも続くデザインとなった事で普遍性も備えるようになったが、それは長年見慣れたからこそであり、やはり「時代のデザイン」だと思える。
 技術の進歩は、同時にデザインの没個性化も生んだようで、1981年に登場したミノルタCLEは、電子制御により絞り優先AEが使えるライカMマウント機という先進的なカメラとして評価された反面、デザインは酷評されたという(※)。
 ミノルタはCLEの四年後、世界初のAF一眼レフシステムであるAマウントを発表し、α7000という大ヒットモデルを世に生むが、このα7000も決してデザインコンシャスなカメラではなかった。α7000に限らず、この時代のAF一眼レフは、前述のデザイナーブランドなカメラを除けば、野暮ったいデザインであり、70年代や60年代のカメラと比べても、かっこいいとは言い難いデザインである。80年代というのは、有名デザイナーによるバブリーさも感じられるカメラもありながら、スタンダードモデルは技術の進歩を優先したかのようなデザイン後回しなカメラも多かったのだ。

 しかし、一周も二周も回ってみると、ミノルタCLEやα7000の角張った主張の弱いデザインも悪くない。今となっては「時代の空気」が感じられ、それ自体が好ましく思えるのだ。時代が変化していく過程で色々とこねくり回されてきたカメラデザインに、多少の辟易した思いがそうさせるのだろう。これは、車のデザインにも同じ思いを抱く。
 音楽も、ロックも、一周も二周も回って、80年代の空気が現代に好まれてくるような時代。そんな時代がやってきたら、それはそれで面白いと思うのだが。
(写真はミノルタα9000)

(※) 「このカメラを復刻せよ」田中長徳著 ミノルタCLEについての開発者インタビューより。
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2017.12.13 Wed l カメラエッセイ l コメント (0) トラックバック (0) l top

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