ちどり公園と運河
 ボックスに入れてあるカメラ用の乾燥剤が切れてしまったのか、久々に手にしたグリップは以前のようにベトついていた。「ニコンD80」。CCDセンサーを搭載し、そのセンサーが作りだす深みのある描写と、初期状態で少し鮮やか系に振ってある色合いが、秋の海を撮りに行かせたくなるカメラである。
 私がメインで使う一眼レフは、フィルム時代からミノルタAマウントであり、ソニーに製造会社が代わった今もそれは変わらない。使い続ける理由は、操作性の良さもあるが、一番はレンズ描写の素晴らしさにある。しかし、そのAマウントは風前の灯と言われ始めて久しい。現行機種も実は結構良いものなのだが、会社がミラーレスに力を入れているので、ユーザーは不安を隠せないでいる。
 「保険」というわけではないが、今後いわゆる「フルサイズ」と呼ばれる135判フォーマットを使うことを考えると、やはりそのフォーマットはキヤノンなりニコンを使うのが賢明かと思い、最近ニコンFマウントについて調べている。家にはニコンに関する本が何冊かあるので、それらを棚から取り出して読んだり、ネットで調べてみたりした。
 ニコンを選ぶ理由は「古いMFレンズも付けられる」というマニアックな理由であり、描写的にはキヤノンでもニコンでも良い。どちらも好きである。私はネットで面白い情報を手に入れた。200ミリクラスの望遠ズームに格安で写りの良いレンズがある。それは、世界のニッコールブランドではなく、ニコンブランドが冠されているという。その名も「ニコンレンズ シリーズE 70-210mm F4」である。
 「シリーズE」というレンズがあることは知っていた。80年代初めに「ニコンEM」という小さくて性能のいい一眼レフを発売したニコンが、その「リトルニコン」と呼ばれたカメラに相応しい小さくて写りの良いレンズを用意した。それが「シリーズE」である。ニッコールの名が付いていないからか、作りはチープだが、レンズそのものはニッコールレンズと差別化されているわけではない。この望遠ズームはのちに仕様を変えてニッコールブランドとしても出ているそうである。
 興味を持った私は、さっそくネットのオークションで相場を調べた。「安い!」それは私の予想を遥かに下回る価格で取引されていたのだった。ネットオークションでカメラ機材を買うのはリスクが大きい。悪質な出品者が少なくない昨今、できれば避けたいのだが、古くて、あまり多くは出回っていないレンズを買う場合は店舗よりも手っ取り早い。私はなるべく信用できそうな出品者から、お札二枚ほどの金額でこのレンズを手に入れた。
 手にしてみると、この時代(1982年に登場している)には珍しく鏡胴はプラスチックで割と軽い。焦点距離の変更はズームリングをまわすのではなく、鏡胴を前後に動かす繰り出し式で、これは操作に慣れを要するが、レンズも綺麗だし、早く試してみたくてD80を出動させることになった。
 川崎港の近くにある「ちどり公園」は運河の先に東扇島の倉庫群が見える。釣り人が大勢いるが、被写体として期待していた猫や花の類はほとんど見かけない。気を取り直して、ベンチに放置されているペットボトルなどを写し、「ボケが意外と綺麗」なんて感嘆してみたが、さすがにもっと風景らしいものを撮ろうと思い立った。運河は船が行き交い、日曜日でもそれなりに忙しそうである。D80のファインダーは結構見やすいので、手動でピントを合わせるはさほど苦でもない。被写体が欲しいと物足りなく思っていた筈が、いつしか夢中でシャッターを切っていた。
(Nikon D80 LENS:Nikon Series E 70-210mm F4)
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2016.10.05 Wed l 川崎南部・鶴見 l コメント (0) トラックバック (0) l top

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