小田原
 小田原文学館にやってきた。木に囲まれた洋館で、元は宮内大臣までされた田中光顕伯爵の別邸だったそうである。木製の戸を引いて中に入る。入館料は大人250円。
 小田原が生んだ小説家川崎長太郎の特別展ということで、直筆原稿や写真などで長太郎の活動を振り返る企画である。私は数ヶ月前に長太郎の代表作のひとつ「抹香町 路傍」(講談社文芸文庫)を読んだ。長太郎自身をモデルにしている男性が主人公で、自身の各年代に身に起こった事を書き綴った私小説である。そこに描かれている長太郎(らしき主人公)は、女性を追いかけ生きているものの、理屈家なところと詰めの甘さで決して良い思いはしない男性であった。その作中のイメージとは違ったキリッとした二枚目な風貌であることに意外な印象を写真から受け、さらりとした読みやすい文字に人柄を感じ、長太郎が戦後に大人気私小説家だったことに納得した。彼の書く私小説は遊郭や食堂や喫茶店の女性との関わりの妙だけでない、彼の男としての面白さや魅力も作用していたのではないだろうかと感じた。
 二階には作品に出てくる小田原の場所を記したマップを「川崎長太郎の歩いた道」としてまとめてあった。このあと抹香町に行く予定の私にとって有難い道案内になった。また、30歳下の奥さん(元々は長太郎のファンだったそうだ)と一緒に写っていた写真もいい雰囲気の写真で、私は前述の本に出てきた二人が房総を旅する話を思い出し、二人の仲の良さを思った。
 三階はテラスになっている。外に出てみると箱根の山と小田原の町を望む良い眺望だった。テラスの入口横に長太郎が住んでいた物置小屋を再現した部屋が作ってあった。先ほどの青物町と御幸ノ浜の風景を思い浮かべ、部屋を眺める。
 文学館の周りには芝生の広がる庭があり、その先には白秋童謡館という古い日本家屋の建物も見学出来る。
 静かな洋館の雰囲気に浸り小田原文学館をあとにした。川崎長太郎展は11月29日まで開催しているとの事。
小田原市ホームページの小田原文学館紹介ページ
(RICOH Caplio GX100)
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2015.10.30 Fri l 小田原 l コメント (0) トラックバック (0) l top

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