
私がスナップで愛用していたコンデジの二代目はルミックスFX-9だった。軽くてなかなか写りが良く、日常から旅行まで活躍した。あの頃はまだそんなにデジカメを持っていなかったので、今みたいにシチュエーションで持っていくカメラを選んだりはしていなかった。出かける時の相棒である。
ルミックスは風景を写すために三浦半島にも何度も持っていった。時にはフィルムのマニュアル一眼レフカメラの露出計代わりに活躍もした。再生画面にシャッター速度と絞り値が出るのだ。勿論、絞り値は一眼レフにそのまま参考にするのは様々な理由によってNGなので、あくまで参考にするだけだが。
そのルミックスが使用開始二年半で壊れてしまった。電源オフにしてもレンズが出てくるのだ。これではケースにしまえないし、レンズに傷も付く。
私はルミックスを常用で使う事を諦め、ご隠居させる事にした。そして、この日色々な思い出を胸に滲ませながら海岸にやってきた。葉山の一色海岸。最後の遠出にふさわしい美しく静かな海岸。そんな海に夕日が沈んでいく。海岸の上の公園で私はそれを見つめながら、ルミックスをそっと構えた。
(Panasonic LUMIX FX-9)