三江線
 都賀大橋から美郷町営バスで潮(うしお)にやってきた。バスと言ってもワンボックス車である。乗客は私だけだったが、石見都賀駅から鉄道ファンが一人乗車。
 潮駅前で降りた私は、まずホームに上がった。この駅は江の川の横に作られた駅だ。眺めはとても良い。ホームに沿って道には桜の木が並ぶ。まだ開花はしていなかった。
 駅近くの潮温泉大和荘が10時から入れるので、少し駅を見学してから行くことにした。駅は駅舎はなく、待合室がホームにあるだけだ。駅ノートがあったので記入した。三江線の廃止を惜しむ声で頁が埋め尽くされていた。
 潮温泉は白い湯で、温度も適温で気持ち良かった。小雨の中を歩いてきてよかったと思えた瞬間である。
 駅に戻り写真を撮っていると、石見川本行きがやってきた。私が宇都井で降りてから四時間ぶりにやってきた江津方面の列車だ。車内は予想通り混んでいて座れず、ドアの所に立って景色を眺める。
 石見川本では乗り継ぎの江津行きまで一時間半ほどある。時計は12時を回り昼食時。改札を出ると、町の人が駅周辺の飲食店が書かれた案内マップを配っていたので受け取り、駅前を散策した。
 駅の近くに「昔ながらの」という言葉が似合う食堂があったので、そこに入ってうどんを食べた。棚に並んでいる漫画が昭和のものであった。そういう小道具がとても似合う店内で、小鍋に入って運ばれてきた肉うどんを食べて暖まった。
 駅に戻るとテレビカメラの姿が見えた。廃止の日が近づき取材が入っているのだ。一泊目の宇部のホテルで見た朝のニュースでも三江線の話題を取り上げていた。この賑わいが以前から存在していれば廃止になることはなかった。しかし、廃止になるからこそ、こうして大勢の人が訪れている事も確か。自分もそんな一人である。
 ツアーなのか、お年寄りの団体も乗り込んだ車内は賑やかなまま江津に向かった。なんとか席に座れた私は、石見川本駅のホームに並ぶ町の人達に見送られ発車した列車で、午後の三江線を満喫するつもりだったが、江津までの約一時間、早起きと朝からの長い歩きで眠くなり、半分ほどの時間を眠りこけてしまったのは残念であった。
 江津駅に着くと、そのまま三次方面に戻る人が多く、ツアーの人はバスが待っているのか駅の外に出ていった。やってきた山陰本線の出雲市行きは先ほどまでの喧騒が幻のように静かな車内で、私は窓枠に肘をつきながら雨の日本海を眺めたのだった。
(RIGOH GR)
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2018.04.07 Sat l 神奈川県以外 l コメント (0) トラックバック (0) l top
三江線
 宇都井駅前から延びる道は少しだけ上りになっている。そこを上がると江の川に出る。私は川に沿って延びる細い道路を北に向かって歩き始めた。
 宇都井で降りた人はおそらく一時間ほど後にやってくる三次行きに乗って三次方面に戻るのだろう。江津方面は四時間後なので、そのプランで動いていると思われる。
 そんな中、私は温泉に入るという目的のために、こうして歩いている。歩いて移動した区間は乗れないが、三江線には一度全線乗っているので、そこは気にせず歩く。
 天気は小雨。用意してきた折り畳み傘をさし、ひたすら川に沿って歩く。時折車が追い越していくが、20分に一台くらいのペースである。歩行者に至っては鉄道ファンと宇都井駅近辺ですれ違ったきりだ。
 行程の半分くらいにさしかかった頃、鉄橋が観えtきた。時計を見ると、件の三次行きがそろそろ通過しそうな時間だ。休憩を兼ねて列車を待つ。しかし、なかなか来ない。
 もういいかなと思い始めた時、レールを叩く音が聞こえてきた。慌てて仕舞いかけていたカメラを取り出す。
 宇都井駅を出てから一時間ほど経過した頃、ようやく集落が見えてきた。久しぶりに見る人の営みに、とてつもない安心感で胸がいっぱいになった。
 しかし皮肉なもので、集落に入ったあたりで雨が強くなってきた。急ぎ足で先を急ぐ。目的物の都賀大橋が見えてきた。赤いトラスが美しい。
 橋を渡ると「都賀大橋」バス停がある。一日数本のバスなので間に合ってよかった。到着までまだ20分ほどある。幸いバス停にはサッシ戸の付いた小さな待合室があり、清掃の行き届いたトイレも隣にある。田舎道のバス停なのに設備が揃っている。小さなベンチに座ってやっと朝食。前夜、ホテル近くのコンビニで買ったパンを食べる。時計の針は九時を回った。
(RICOH GR)
2018.04.06 Fri l 神奈川県以外 l コメント (0) トラックバック (0) l top
三江線
 口羽を出た三江線は更に混雑を増した。口羽から地元の人数名を含め乗客が増えたのだ。私は二駅先で降りるので席を譲り、その二駅先の宇都井(うづい)駅で降りた。
 宇都井は谷あいに設けられた駅で、高さ20メートルほどの高架上にホームがある。下に下りるには110段の階段を使って移動するしかないという、一風変わった作りの駅なのだ。
 一日の平均乗降客は0人という宇都井だが、私を含めて男女5~6人が降りた。狭いホームにちょっとした賑わいが生まれる。
 ホーム上の待合室が駅舎のような役目を果たしている。そこに駅ノートがあった。こういう旅情溢れる駅はやはり駅ノートが置いてあるものだ。全国から訪れた旅人の思い出が詰まった駅ノート。廃止後も三江線記念館のようなものが出来るのなら、そこに置いてほしいものである。
 ホームからの眺めを堪能したあと、110段の階段を下りた。上りの人のために、ホームまであと何段なのかを示す紙が随所に貼られている。
 上からの眺めもよかったが、やはり下から見上げる宇都井駅は絵になる風景だった。廃止後はこの駅はどうなってしまうのだろうか。解体するにも一苦労だと思える駅だ。
(RICOH GR)
2018.04.05 Thu l 神奈川県以外 l コメント (0) トラックバック (0) l top
三江線
 サッカーを観たあと急いでアストラムラインに乗って大町駅を目指す。先ほど可部線に乗り買える時に駅前の造りを確認してある。私はタクシー乗り場に直行した。
 大町から東に数キロ、タクシー代で1200円ほどの距離に芸備線の安芸矢口駅がある。芸備線は広島駅から出ているが、広島駅まで向かうと大回りになるのでタクシー代をケチらずにこういうルートとなった。わかりやすく言うと、逆三角形の下二辺を回らず上一辺で安芸矢口駅に出るという訳だ。
 安芸矢口に着くと日が暮れ始めていた。小さな駅舎は無人駅。住宅街ではあるが、山の麓、川の土手の横にある小さな駅だ。ライトもまばゆく三次(みよし)行きの快速がやってきた。
 二日目は三次泊まりである。以前から泊まってみたい町だったので飲みに出かけたいが自重してホテル近くのラーメン屋に入った。ホテルも駅近くである。何しろ日曜とはいえ、よく駅周辺の宿の予約が取れたと自画自賛な状態な今の三次なのだ。ここは明日に備えておとなしくしておきたい。
 翌朝、四時半頃起きた私は、まだ暗い駅前の道を歩いていた。当然だれも歩いていない筈、なんてことはなかった。駅に近づくにつれて人の気配がしてくる。ディーゼルエンジンのアイドリング音が響く三次駅に着くと、待合室には何人もの旅人がいる。登山か?釣りか?いえ、鉄道です。
 三次5:38発の三江線一番列車は、ホームに列を作って並ばなくてはいけない状態であった。背広を着たJR職員が整理にあたっている。日本有数の過疎ローカル線である三江線が、座席が埋まり、立つ人まで出るほどの賑わいになっている。それには理由があった。三江線は三月いっぱいで廃止となるのである。
 秋の頃から一両では足りず、二両ないし三両に増結しているという話は伝わってきていた。この列車も二両である。窓の外はまだ夜のようなもので景色はよく見えず、車内も混んでいて風情はないが、贅沢は言っていられない。廃止されればもう乗れなくなるのだ。
 三次を出て一時間ほどで口羽に着いた。ここは開通当初は終着駅だった駅である。当時は三江線は北と南に分かれつながっていなかった。山間の小さな平地にある集落の小駅。今でも終着駅のような雰囲気は残っている。ここで三十分近く停車。空は雨だがだいぶ明るくなったので、降りて撮影をしてみた。
(RICOH GR)
2018.04.04 Wed l 神奈川県以外 l コメント (0) トラックバック (0) l top
広島ビッグアーチ
 一日目は宇部に泊まった。宇部線の宇部新川駅で降り、夜の町を歩く。十年以上前にも泊まった町だが、やはり商店街は寂れていた。駅前通りに灯るネオンは飲み屋ばかりである。
 宇部というと個人的には「道重さゆみさんの故郷」というイメージだ。泊まったホテルは町の中心部からやや離れていた。近くのスーパーで朝食を買うついでに酒のコーナーを見たら「さゆり」というピンクのラベルの酒があったので思わず買ったが、部屋に入ってラベルをよく見たら山口の地酒ではなく、白鶴が出している酒だった。まあ、それなりに美味しかった。
 二日目は宇部線で新山口に出て広島に向かった。新白島という駅で降り、アストラムラインという新交通システム鐡道に乗る。大町というニュータウンの割と大きめの駅でJR可部線に乗り換え、終点の,あき亀山駅に向かう。可部からこの駅までは、一度廃止になった区間を復活させたものである。それほど、広島は山側のニュータウン化が進行している。
 大町に戻り、アストラムラインの終点である広域公園前へ。車内は混雑。紫色の服を着た人が多い。そうサンフレッチェ広島である。
 駅は選手の写真などが貼られ、階段も壁も紫である。駅からスタジアムは緩い坂になっており、徒歩15分ほど。スタジアムは山にあるのだ。
 現在首位を快走中とあって、バックスタンドもゴール裏も満員。私はアウェイ寄りの席に空いている箇所を見つけて落ち着いた。場内を包む熱気がメジャー感に溢れていて、これがJ1なんだと実感する。
 客層は幅広く、家族連れが結構多いし、中高年も多い。そして、男子学生も多い。これはいい傾向だと思う。野球のイメージの強い広島だが、実はサッカーどころでもあり、競技人口は野球よりサッカーの方が多いそうだが、学生が気軽に足を運ぶ環境が構築されていると感じた。
 スタジアムの雰囲気もよく、チームも好調。これでスタジアムが陸上競技場ではなかったら。そして、もっと街中にあったら。そう感じてしまう。新スタジアム計画は必然であると改めて思う。いつか実現することを祈る。
(iPhone5)
2018.04.03 Tue l 神奈川県以外 l コメント (0) トラックバック (0) l top