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八栗
 丸亀から快速で高松にやってきた。四カ月ぶりの高松である。そして、四カ月ぶりに「ことでん」こと高松琴平電鉄に乗る。
 前回利用したICカード「Iruca」を持ってきているので、まずは駅でチャージする。目的地は八栗(やくり)駅である。八栗は志度線の駅だが、志度線はことでんの起点の高松築港駅からは出ていなくて、二つめの瓦町で乗り換えとなる。
 瓦町駅は橋上駅で駅ビルまである、ローカル私鉄には異例の規模を誇る駅だが、志度線への連絡通路にはなんと「動く歩道」がある。これもローカル私鉄としては異例だろう。
 電車は元阪神の車両で昭和の雰囲気を残す。ことでんには他にも元京王や元京急の電車が走っている。
 八栗駅に着いた。ここからケーブルカーに乗るのだが、ケーブルカーの駅までは徒歩20分ほどだそうである。暑い陽気の下、住宅地の道をひたすら歩く。だんだんと山が近づき、道にも勾配が付いてきた頃、ようやくケーブルカーの駅に着いた。
 駅舎の隣には鳥居が立っている。歩いていく人のための参道だ。山の上に八栗寺があるのである。窓口で切符を買ってホームに向かう。駅員も運転士も皆女性である。
 誰も乗客が居ないまま貸切状態で山上に向かう。観光案内が車内に流れている。のどかな気分に浸っているとあっという間に到着した。山上の駅も女性駅員だ。
 案内版に従い歩いていくと、ほどなく境内が現れた。八栗寺は弘法大師が開いたお寺だ。今回の旅の初日で高野山に行ったので、弘法大師にちなんだ土地から始まった旅だった。
 八栗寺は聖天さまを祀っているという。ひとつひとつ参拝していく。境内は日差しが穏やかだ。参拝が終わってからベンチに座って一休みする。そうしているうちに、参拝客が増えてきた。ちょうど昼時ではある。
 八栗寺を参拝したあと、ケーブルカーとことでんを乗り継いで瓦町駅にやってきた。駅ビルで昼食にする。うどん屋があったので入店してみた。三日連続で昼はうどんとなっている。
 八栗ケーブルに乗ったので、これで四国の鉄道は全路線乗車した。JR四国は随分前に全路線乗っていたのに、この一路線に乗るまでに期間が長く空いてしまった。天気も良く、景色も良かった。八栗寺に参拝して八栗ケーブルに乗れて良かったと思った。
 あとは帰るだけとなった。瓦町駅でのんびりし過ぎて、予定していた電車に乗り遅れた。乗った電車はバスの乗り換えとなる駅の手前で終点となる。仕方なく終点まで行って、駅前にタクシーが居ないことを確認してから電話をかけた。だが、タクシー会社の電話は混んでいた。
 駅員に尋ね、タクシー常駐の駅まで更に戻った。祈る気持ちで駅前を見るとタクシー会社の営業所と車庫があった。「乗れますよ」という言葉に安堵して乗りこんだ。
 私の行き先は高松空港である。運転手は気さくな人で、道中はうどんの話や香川県の町や名物の話で盛り上がった。タクシーに乗ったことで2800円ほどかかってしまったが、良い思い出が出来たと思う。
 高松空港からは成田空港行きジェットスターである。LCCに乗るのは二回めだが、前回のは台湾からの帰りの国際線で台湾の会社だった。国内線のLCCに乗るのは初めてだ。機械でチェックインをしたら最前列の席が出てきた。LCCは席の指定は有料である。運がいいのかもしれない。
 乗った機体は最前列と乗務員スペースとの間に壁がない造りだったのでドアの開閉の始終を見ることが出来た。最前列だからLCC特有の足元の狭さもない。快適に成田に到着した。空はだいぶ黄昏が深まっていた。
(RICOH GR)
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2021.05.07 Fri l 神奈川県以外 l コメント (0) トラックバック (0) l top
丸亀
 快速マリンライナーで瀬戸大橋を渡ると四国だ。雨が降っていたようで地面が濡れている。坂出で降りて乗り換え、丸亀に着いた。
 丸亀は城のある南口が栄えているが、まずは北口に向かう。まだ空は少し明るい。港を見ておきたいと思った。西の空にオレンジ色の太陽がまさに沈みかけている。急ぎ足で海に向かった。
 瀬戸内海は青い海面をたたえながら、じっと一日の終わりに照らされていた。私はしばらくじっと空を見つめ、海に黄昏た。
 暗くなるまでは案外時間がかかり、南口に出て、城の近くまで来た頃にようやく夜が近づいてきた。城は翌朝に行こうと考えている。
 丸亀はアーケードがシャッター通りになっていると聞いていた。全国各地で見られる現象である。町自体は寂れているというほどでもないが、商業ビルが僅かなテナントで立っていたり、あちこちに現代日本の姿が滲み出ている。
 ホテルに着いてから、アーケードの方へ出てみた。飲食店が点在する。営業中の生活用品店もある。だが、閉まっている店の方がずっと多い。何軒かの飲食店を候補にした結果、アーケードの片隅でひっそりと、だがしっかりと営業している店に入った。入口脇に手書きのサインボードがあったのが決め手だった。
 店内は賑わっていた。外の風景とは別世界だ。出てくる料理の味は確かで、はやっている理由はこれだと実感できた。カウンターで一人飲みながら、店が推している串焼きをいくつか注文しようと思った頃、仕事帰りの男女二人がやってきた。混んでいるから、席を詰めて私の隣となる。
 男女がカウンターにされてしまうほどの混雑だから、余所者の私が理由なく長居するのは申し訳なく想った。味は充分堪能した。串焼きには未練があるが、満足して店を出た。
 翌朝、丸亀城に向かった。ホテルは城のすぐそばだ。水堀を橋で渡り、公園になっている区画を抜け、石垣の横に造られた道を登る。犬を連れた女性が前から歩いてきた。犬がこちらにじゃれてくる。上着に家の犬の匂いが付いているのだろう。「かわいいですね」と声を掛けてお互い挨拶を交わしたあと、天守に向かう。
 丸亀城は日本に十二しかない江戸時代の天守がある。十二のうち、四国には四つある(丸亀、松山、宇和島、高知)から、四国は建築文化への理解が深さがあるのかもしれない。
 天守内を見学して、天守台からの眺めを堪能する。香川県は人口密度の高い県だが、こうして町を見下ろすとそれを実感できる。
(RICOH GR)
2021.05.05 Wed l 神奈川県以外 l コメント (0) トラックバック (0) l top
明石城
 有馬温泉で一息ついたあと、神戸電鉄で新開地に出た。ここは東西北の逆T字型に路線が交錯する駅で、東に向かうと三宮や大阪梅田方面を阪急と阪神の2ルートで行く事が出来る。
 西に向かうと明石姫路方面で、こちらは山陽電鉄となる。
 神戸と姫路方面はJR山陽本線が圧倒的に利用されている。速いのが理由だ。山陽電鉄はカーブが多く速度の面では勝負にならない。私もこの区間に乗る時はいつも山陽本線の方だが、今回は山陽電鉄を選択する。
 山陽電鉄は須磨海岸の辺りでJRよりも海沿いを走る。曇り空なので絶景とはいかないが、いい眺めだ。JRよりも小ぶりな駅が続き、海に架かる明石海峡大橋が見えた頃、明石市内に入ってきた。山陽明石駅はJRの明石駅と隣合わせで、駅名を揃えて「明石」にしてもいいくらいだが、そうしないのは意地だろうか。
 明石駅は高架駅で大きい駅だ。新幹線は隣の西明石に譲っているが明石市の玄関駅といっていい構えだ。そんな明石駅の北口に出ると大きな公園が広がっている。
 公園は明石城だ。水堀を橋で渡り、広場に出ると芝生の上で春休みの学生や家族連れが遊んでいた。その向こうに大きな石垣と復元天守がそびえる。
 ここも桜が満開だった。石垣の上に登ってみる。道は急な階段というほどでもなく、上に出ると明石の町が一望出来る眺めだった。マンションやビルが案外多い。
 歴史のある城なのだが、説明版などはほとんどなく、城跡を利用した公園といった趣きである。そこにかつて建っていた建物名を地面に掘ってあった篠山城とは城へのスタンスが違うが、町の都市規模の違いなのだろう。
 駅前にあるアクセスしやすい城で、石垣は見応えがあるし、関西在住の人にはおすすめ出来る城だった。現存天守の姫路城は見るべき価値のある城だが、明石城も良い城だ。
 明石からはJRで行く。券売機で丸亀までの切符を買った。今夜は香川県の丸亀に泊まる。丸亀は現存天守の丸亀城のある町である。接続よく一回の乗り換えで17時過ぎに岡山にやってきた。帰宅ラッシュが始まっている岡山からは快速マリンライナーで四国を目指す。
(RICOH GR)
2021.05.04 Tue l 神奈川県以外 l コメント (0) トラックバック (0) l top
有馬温泉
 篠山口から福知山線で三田に着いた。前日の夕方以来の三田だが、町歩きはせずに神戸電鉄の乗り場に向かう。
 三田からは前日乗ったウッディタウン線に乗り入れる電車と、神戸の新開地に向かう電車が出ている。今日は新開地行きに乗る。
 篠山も三田も晴れだったが、車窓が山間に近づいてくるとだんだんと曇り空になってきた。六甲山地を抜けると神戸の市街地だが、その手前にも山がある。だいぶ山深くなってきたところで有馬口駅に到着した。
 有馬口では隣に有馬温泉行き電車が停車していた。神戸電鉄と言えば白と赤の車体だが、この電車は黄緑色だ。新開地からやってきた電車からの乗り換え客も合わせ、さらりと席が塞がる程度で電車は発車した。
 次は終点の有馬温泉である。一駅区間をこの電車は行ったり来たりしているらしい。車窓は家がほとんどない山奥だ。以前は途中駅もあったらしい。それが信じ難い風景だ。
 有馬線に乗るのは二回目だが、前回は温泉には行かなかった。今日は行こうと思う。有馬温泉駅は一面二線のホームにこぶりな駅舎。案内板を眺めて、駅から近い共同浴場を選んで向かった。
 山の中の温泉だから道は坂になっている。関西の奥座敷という言葉が似合う眺めだ。大きなホテルが多いが、道路に面して土産物屋や飲食店なども並んでいる。駅から数分で目的地に着いた。
 ちょうど正午に差し掛かる時間だったからか、いつしか浴室は貸切状態になった。奇麗な建物で、湯は茶色のものと透明なものがある。茶色の方にのんびり浸かる。前夜、篠山で転んだ際に作った足の傷、手の痛みがやわらいでいくような感触があった。
 駅の二階は土産物屋を兼ねた食堂になっていた。そこでうどんを食べた。天気は冴えないが、温泉でさっぱりしたので気分は爽快である。
(RICOH GR)
2021.05.02 Sun l 神奈川県以外 l コメント (0) トラックバック (0) l top
篠山城
 朝起きると窓の向こうに篠山城の堀と石垣が見えた。今日はこの篠山城から旅を始める。
 無人対応のプランだったのでチェックアウトは鍵を箱に入れるだけだった。天気は良い。市役所の前を流れる水彫りに沿って入口に向かう。桜が満開だ。
 そこまで急な階段はなく、すぐに広い敷地に上がる。近年復元された大書院が資料館も兼ねている。まだ空いている時間ではないので郭を一周してみる。眺めがいい。山に囲まれた町だ。城の南、つまり駅の方は町というほど集落はなく、町と農地が分かれたようなな景色だった。
 本丸跡に青山神社がある。藩祖を祀った神社で、おだやかな眺めの場所だ。いい城だなと思う。
 朝の町は昨日の黄昏の町と変わらぬのどかな空気が流れていた。まだこういう町があるのが嬉しい。ロードサイドショップ文化が日本の町の景観を破壊してしまったこの二十年。日本が置いてきてしまったのはお金だけではないのだ。
 細い道の片隅に立つバス停から駅に向かうバスに乗る。これから篠山口から福知山線に乗って宝塚をめざし、列車を乗り継いで広島に向かう予定だったが、それはやめることにした。のんびり旅をしたくなったのだ。
 私は久しぶりに神戸電鉄の旅をしようと思った。昨日、ウッティタウン線に乗って、その先に行ってみたくなったのだ。福知山線を三田で降りて、二日続けて三田から神戸電鉄に乗る。ウッティタウン線の分岐駅横山を過ぎると低い山が近づき始め、その先に深い山間があることを実感させる。向かうのは有馬温泉である。
(RICOH GR)
2021.04.28 Wed l 神奈川県以外 l コメント (0) トラックバック (0) l top